帰還
Nov-28-2006
KQLDのツアーより帰還致しました。全公演トータルで約1500名の皆様にお集まり頂き、本当に嬉しく思います。このバンドも結成してから、気がつけばかなりの年月を経ておりますが、今回のツアーは我々ながらベスト・アクトが連続する奇跡的なツアーだったように思います。長年封印していたウエイン・ショーターの「ピノキオ」、ツアー中にリハーサルして広島よりレパートリーに加えたトム・ジョビンの「ハウ・インセンシティヴ」は如何だったでしょうか。
ツアーの思い出話。等はいつかまとめて書く事にしまして、帰還後、メールボックスに届いていた感想メールの中から、多かった質問に関してお答えさせて頂きます。一番多かった物は「あの香水は何というブランドの物ですか?」で、帝都のファンの方々なら先刻ご承知だと思いますが、あれはテュエリー・ミュグレー(因に、80年代の表記では「チェリー・ミュグレル」とされていました)の「エンジェル」というレディスのパフュームです。いくつかのバリエーションがあるのですが、公演中に使用していたのは「ヴィオラ」という商品で、残念ながら現在入手は比較的困難。なのですが、検索などによって入手方法がお解りになるかと思われます。
「スーツとシャツは何ですか?」というご質問ですが、これは会場によって違ったので、どこで何を着ていたか忘れてしまいましたが、持って行った物はスーツがディオール・オム、ニール・バレット、ジャン・ポール・ゴルチエの3着、シャツ&ブラウスはディオール・オム、ソス・テヌートを、各々2着ずつと、ジバンシィの古着を1着です。「着回し」は00年代に定着したファッション用語の一つですが、正に着回しですね。12/11の九段会館の公演では新調しようと思っております。
「楽器とリードは何ですか?」という物もありました。テナーはマーク6、マウスピースはリンクのメタル7スター、リードがジャバの2。と、非常に在り来たりなものですが、アルトはマーチン、マウスピースはARB、リードはラ・ヴォーズのソフトで、この楽器は珍品なので入手は非常に難しいです。音程が悪いので手放そうと思っているのですが、ネクストの良いのが見つからず、次のオーナーを当欄で募集したまま、まだ使用しています(オーナーに立候補して下さった皆様、すみません。キングかコーンの良い物が見つかったら手放すつもりなのですが・・・)
これは一通だけ「猪は食べますか?」というご質問が有りましたが、猪は大好物です。というより、ワタシは肉に関しては豚牛羊鶏などは言うまでもなく、所謂ジビエ全般、あらゆる珍品(ワニとか犬とかカンガルーとか)に至るまで、全て大好物です。
質問とは違うのですが「J-WAVEが聴けなくて残念だ」というお声を沢山頂戴しました。ワタクシも残念なのですが、これは一方で「J-WAVE毎週聴いてますよ」という方もいらっしゃり「え?どうやって聴くのですか?」と伺った所、インターFMとかネットから落とすとか、有線を引いて月に幾らだとかいった複数のお答えを頂戴し、その総てについてまったく無知だった物で、詳述出来ません。申し訳ない。とにかく複数の方法が有る様です。
これはご質問と言うよりも、時候の挨拶の様な物でしょうけれども「何か美味しい物は食べましたか?」というメールもいくつか頂戴しました。頂きましたとも。特に広島でイベンターの方にご招待頂いた「イタリアン屋台」は素晴らしく、「屋台探偵」こと矢谷憲明シェフの腕前にはすっかり感動してしまいました。総ての料理、特に野菜とシーフードが秀逸でしたけれども、中でも牡蛎のムニエルをバゲットに乗せ、カリフラワーとジャガイモのムースを被せて、上にアサツキを乗せた物は、余りの美味しさに、はしたなくも四つも五つも食べてしまいました(一人二つずつ。でサーヴされたのですが・笑)。「牡蠣はヴァプールですか?ポワレですか?ブロッコリーを茹でているのはブロードですか?単なるお湯と塩ですか?里芋のグラタンにはワインは入っていましたか?」等と、ついつい興奮し、質問攻めにしてしまい、はしたないまみれであります。
お客様からも甘い物等を沢山頂戴しまして、有り難いやら申し訳ないやらです。ライブの料金を頂戴している上に菓子折りやお茶まで。頂き物に対してあれが旨かったこれが今ひとつだった言うのは品性下劣に過ぎるとは思いますが、名古屋で頂いた塩の効いたウイロウには感動しました。「毎日、規定時間オーヴァーで演奏していると言うのに、これでは豚に成ってしまう」等とニコニコしながら、頂戴した物は一つ残らずホテルの部屋にて平らげてしまいました。我ながら本当に食い意地の張った豚児だと思うのですが(メンバーにも食べさせたい。という方は、その旨一筆添えて下さい。でないと本当に総てワタシが一人で一箱食べてしまうのです!)、ホテルには茶器が有るので頂いたお茶も煎れられ、どうにもこうにも我慢が効きません。
我々のメッセージが実にシンプルであると言う事が充分にお解り頂けたのではないかと思っています。それは即ち、ジャズのサウンドとはジャズ的に美しく、そしてジャズ的に危険で、しかもジャズ的に儚いという事です。それ以外何もありません。そして、お気付きでない方にのみ、そっと耳打ちさせて頂くならば、実のところ、世界はありとあらゆる美で溢れています。この星をほぼ征服しつつある、人類というやっかいな生き物の哀しさです。ワタシの音楽は、そのうちのほんの一つに過ぎない。総ての関係者とお客様に感謝するとともに、次の逢瀬を楽しみにしております。それではごきげんよう。
追記1>
肝心の店名を忘れておりました。矢谷シェフのお店は「PASTA Enzo」です。
追記2>
さきほどまで、今年の正月にモロッコに同行した谷口キャメラマンと、このマンションの屋上で撮影していました。「エスクァイア日本版」の12月号で「今年一年を振り返る」というエッセイを書くのですが、そのための写真です。何か早くも一年が締めくくられたキブンであります。
追記3>
非公開(院生10名のみの特別公開)なのですが、明日、東京芸大で、美学者の伊藤俊治先生と二人で「エキゾチズムとエロティシズムについて」というテーマで講義を行います。現在その準備をしております。要するに帰還日も仕事三昧。という事でした(笑)。
追記4>
とはいえ、帰還して最初に向かったのは片山洋二郎先生の整体道場でした。先生はワタシの背中をさっと軽く触った後「相当食べましたね(笑)ここ数日」とおっしゃいました。平均的な日本人は、食べ過ぎるとテンションが下がるそうですが、ワタシの場合は食べ過ぎるとテンションが上がるのだそうです。